春の半のご挨拶

夫れ齢知命を数ふるに至り、来し方の足跡を省みるに、その餘に浅き事雨後の水溜の如く薄き事楮の洟紙の如くなる様に、など徒に半世紀を生きしかとおぼへず膝附き落涙禁ずるを得ず。
されどその若干の月日を経るあひだ、耳目もて相応に見聞きせし種々のものによりて、わが人となりここに成れるなり。それらを開示し高覧を賜るは是ささやかなるなりはひの慰みとぞおぼゆ。然れば畏みて此処にこのブログを開設す。

古人のたまひしごとく、ゆく河の流れは絶えずしてしかも元の水にあらざれば、わが身世にふる眺めせしまにしづ心なく花も散るらむ。
願はくはこのつたなき文集をしばしご笑覧賜ひてほんの月待つほどの手すさびにもならんことを。